量産化技術 ~Industrial-Scale Manufacturing~
Challenges We’re Addressing
ラボスケールにおける一般的なPCP/MOF合成方法として、ソルボサーマル法が知られています。
PCP/MOFは金属塩、および、有機物(配位子)から構成されますが、これらの物質を適切に接触させなければ結晶が形成されません。しかし、金属塩と有機物はある溶媒に対する溶解性が大きく異なることが多いため、少なくともどちらか一方の物質を貧溶媒に溶解させる必要が生じます。この結果、反応系を高温、高圧にすることが求められます。ソルボサーマル法は、実験室レベルであればオートクレーブを用いることで対応可能ですが、プラントなどで量産する場合には法規制や安全性の観点で大きなハードルを伴います。
また、前述したように、ソルボサーマル法ではどちらかの原料に対しては貧溶媒の系になることから、ごく低濃度でしか反応させることができず、バッチ効率に大きな課題もあります。
このように、ソルボサーマル法における設備面、バッチ効率などの課題により、これまでPCP/MOFの製造は非現実的なコストがかかるとされてきました。
また、ソルボサーマル法の課題を解決するために溶媒を使用しない、固相合成法の検討も行われています。固相合成法はバッチ効率を大幅に改善する可能性が期待されていますが、原料同士の均一な接触が難しく、品質の安定化に課題があります。加えて、この方法は一部のPCP/MOFにしか適用できず、汎用性に限界があるため、広く普及するにはさらなる検討が必要です。
Our Technologies
PCP/MOFは新規材料として注目を集めており、学術論文でも数多くの構造が報告されています。このような多種多様なPCP/MOFに対し、実用化に向けてどのように供給体制を整えるかが、サプライヤーとしての競争力の源泉となります。
Atomisでは、液相合成であるソルボサーマル法、および、固相合成法の課題を克服すべく複数の独自製法を開発し、ノウハウや知的財産を多数保有しています。温和な条件での合成が可能であるために高圧関連の法規制の制約を受けず、また、バッチ効率の改善から、実用的なコストでPCP/MOFを製造することが可能です。
また、独自製法を用いたPCP/MOFの量産化を目指し、2023年に自社設備としてパイロットプラントを竣工しました。本設備は幅広い製造条件に対応可能な防爆型プラントであり、最大で年間20 tの生産能力を有しています。専用製造設備としては世界有数の規模であり、PCP/MOFの社会実装に貢献できる供給体制が整っています。なお、今後、一定以上の製造規模になった場合においても、自社の生産能力を拡大する余地があり、それに加えて、自社製造のみならず、パートナー企業様との連携も視野に入れています。
このように、安定した供給体制を構築し、実用化を推進するための技術的優位性を確立していることが当社の強みです。
材料の採用には、量産性の確保が不可欠です。Atomisでは、自社の強みを活かし、お客様のニーズに応じた最適な提案を行うことが可能ですので、是非お気軽にご相談下さい。